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ハンドメイド販売の利益率目標と損益分岐点の計算方法

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ハンドメイド販売の利益率目標と損益分岐点の計算方法

「売上はそこそこあるのに、なぜかお金が残らない」——このような状況は、利益率と損益分岐点を把握していないことが原因であることがほとんどです。ハンドメイド販売を持続的なビジネスにするためには、数字を正確に把握することが不可欠です。 この記事では、利益率の計算・目標設定・損益分岐点の算出まで、わかりやすく解説します。


ハンドメイド販売の利益の種類

3種類の利益を理解する

利益の種類 計算式 意味
粗利益(売上総利益) 売上 - 変動費 商品1個あたりの稼ぎ
営業利益 粗利益 - 固定費 本業の儲け
純利益 営業利益 - 税金等 最終的に手元に残るお金

ハンドメイド販売で最も重要なのは「粗利益率」と「営業利益率」です。


変動費と固定費の分類

変動費(売上に比例して増減する費用)

費用項目 内容
材料費 作品に使う素材 レジン・ビーズ・布・糸
梱包材費 箱・袋・緩衝材 OPP袋・段ボール・プチプチ
配送料 発送のたびにかかる ゆうパケット・宅急便
販売手数料 プラットフォーム手数料 minne9.6%・Creema11%
決済手数料 決済処理費用 BASEの3.6%等

固定費(売上に関わらず毎月かかる費用)

費用項目 内容 月額目安
通信費(按分) スマホ・ネット代 1,000〜3,000円
撮影機材の減価償却 カメラ・照明等 1,000〜3,000円
作業場所の光熱費(按分) 電気代 1,000〜5,000円
ソフトウェア費 Canva・Photoshop等 500〜3,000円
交通費(仕入れ等) 材料購入の移動費 500〜2,000円
ハンドメイドイベント費 出展費等(年額÷12) 0〜5,000円

利益率の計算方法

粗利益率の計算

粗利益率 = (売上 - 変動費) ÷ 売上 × 100 (%)

例:3,000円の商品(minne販売)の場合

項目 金額
販売価格 3,000円
材料費 -400円
梱包材費 -80円
配送料(送料込みの場合) -230円
minne手数料(9.6%) -288円
粗利益 2,002円
粗利益率 66.7%

営業利益率の計算

月間固定費が15,000円、月間販売数が20個の場合:

固定費配賦(1個あたり)= 15,000円 ÷ 20個 = 750円
営業利益 = 粗利益 - 固定費配賦 = 2,002円 - 750円 = 1,252円
営業利益率 = 1,252円 ÷ 3,000円 × 100 = 41.7%

利益率の目標値

ハンドメイド販売の利益率ベンチマーク

粗利益率 評価 状況
30%未満 危険 材料費が高すぎるか、価格が低すぎる
30〜50% 要改善 固定費を引くと赤字になりやすい
50〜65% 普通 固定費次第で利益が出る
65〜75% 良好 安定した利益が出やすい
75%以上 優秀 高い利益体質
営業利益率 評価
0%未満 赤字(廃業リスク)
0〜10% ギリギリ
10〜20% 副業として成立
20〜30% 本業として成立
30%以上 高収益ビジネス

目標:粗利益率65%以上、営業利益率20%以上


損益分岐点の計算

損益分岐点とは

固定費をちょうどカバーできる売上高(または販売数)のこと。これを下回ると赤字、上回ると黒字になります。

損益分岐点売上高の計算式

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 粗利益率

例:月間固定費15,000円、粗利益率66.7%の場合

損益分岐点売上高 = 15,000円 ÷ 0.667 = 22,489円

つまり月間売上が約22,500円を超えれば黒字になります。

損益分岐点販売数の計算

損益分岐点販売数 = 固定費 ÷ 1個あたり粗利益

例:1個あたり粗利益2,002円、月間固定費15,000円

損益分岐点販売数 = 15,000円 ÷ 2,002円 = 7.49 → 8個

月に8個以上売れれば黒字です。


売上目標の立て方

目標逆算の手順

STEP 1:月間に必要な手取り額を決める

例:副業として月3万円の手取りが欲しい

STEP 2:税金・社会保険の考慮

副業の場合、所得税(5〜20%)・住民税(10%)が発生します。

必要な税引き前利益 = 30,000円 ÷ (1 - 所得税率 - 住民税率)
                   ≈ 30,000円 ÷ 0.75 = 40,000円(概算)

STEP 3:固定費を加えた必要営業利益を計算

必要売上 = (必要営業利益 + 固定費) ÷ 粗利益率
         = (40,000円 + 15,000円) ÷ 0.667
         = 82,458円

月間売上約83,000円が目標となります。

STEP 4:必要販売数に変換

必要販売数 = 目標売上 ÷ 平均販売単価
           = 83,000円 ÷ 3,000円 = 27.7個 → 28個/月

月28個の販売が目標です。


利益改善のシミュレーション比較

シナリオA:現状維持

項目 金額
月間売上 60,000円(20個×3,000円)
変動費合計 19,960円
粗利益 40,040円
固定費 15,000円
営業利益 25,040円
営業利益率 41.7%

シナリオB:価格を3,000円→3,500円に値上げ

項目 金額
月間売上 70,000円(20個×3,500円)
変動費合計 22,384円(手数料増)
粗利益 47,616円
固定費 15,000円
営業利益 32,616円(+7,576円)
営業利益率 46.6%

シナリオC:原価を15%削減(3,500円価格のまま)

項目 金額
材料費削減効果 1,020円 → 850円(-170円/個)
月間削減効果 170円 × 20個 = 3,400円
新しい営業利益 32,616円 + 3,400円 = 36,016円

最も効果的な組み合わせは「値上げ + 原価削減」の同時実施です。


月次の利益チェック習慣

毎月確認すべき数字

指標 確認方法 改善アクション
月間売上 プラットフォームの売上管理 目標比を確認
月間販売数 注文数の合計 単価or数量の改善を検討
粗利益率 変動費を差し引いて計算 65%未満なら価格か材料費を見直す
平均客単価 売上÷販売数 セット販売で改善
損益分岐点到達日 何日目に損益分岐点を超えたか 月前半に超えるのが理想

Excelで管理する利益計算シートの設計

必要なシート:

  1. 月次サマリー:売上・変動費・固定費・利益の集計
  2. 商品別採算表:各商品の粗利益率
  3. 固定費一覧:毎月の固定費を項目別に管理
  4. 目標シミュレーター:目標利益から必要販売数を逆算

まとめ:数字を「見える化」することが利益の起点

「なんとなく売れている」から「計算して稼いでいる」への転換には、数字の可視化が不可欠です。

今月からできること:

  1. 変動費と固定費を月ごとに集計する
  2. 粗利益率を代表商品3〜5品で計算する
  3. 損益分岐点を算出して目標販売数を把握する
  4. 毎月末に実績と目標を比較する

数字を把握することで、「もっと働く」ではなく「どこを変えれば効果的か」を判断できるようになります。利益率の管理は、あなたのハンドメイドビジネスを持続可能にするための最重要ツールです。

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