個人事業主として開業するメリット・デメリットと手続き完全ガイド【ハンドメイド作家向け】
この記事の目次
個人事業主として開業するとはどういうことか
ハンドメイド販売で収入が増えてきたとき、「個人事業主として開業する」という選択肢が浮かびます。開業とは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出し、事業者として公式に認められた状態になることです。
開業届の提出は法的に義務づけられているわけではありませんが(無申告でも違法にはなりません)、提出することで受けられるメリットが多くあります。
個人事業主として開業するメリット
1. 青色申告が利用できる
最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。所得が同じでも、青色申告をすることで納税額を大幅に減らせます。
2. 屋号で活動できる
開業届に屋号を記載することで、「〇〇工房」「△△ハンドメイド」という屋号名義の銀行口座を開設したり、名刺・請求書に屋号を使ったりできます。ブランドとしての信頼性が高まります。
3. 事業所得として認定されやすい
個人事業主として開業していることで、税務署から「事業所得」として認定されやすくなります。雑所得よりも事業所得の方が控除の幅が広く、赤字繰越もできます。
4. 補助金・助成金を申請しやすい
小規模事業者持続化補助金など、事業者向けの公的支援制度を利用する際に、開業届の控えが必要になることがあります。
5. 社会的信用の向上
取引先や金融機関から事業者として認識されるため、融資や取引をスムーズに進めやすくなります。
個人事業主として開業するデメリット
1. 社会保険料が増える
会社員との兼業でなく専業の個人事業主になる場合、会社の健康保険・厚生年金から外れ、国民健康保険・国民年金に切り替える必要があります。
| 保険の種類 | 会社員 | 専業個人事業主 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 会社と折半負担 | 全額自己負担(国民健康保険) |
| 年金 | 厚生年金(会社折半) | 国民年金のみ(月約16,980円) |
| 労災保険 | 会社が負担 | 原則なし(特別加入制度あり) |
| 雇用保険 | 会社が負担 | なし |
特に国民健康保険は前年の所得に応じて保険料が決まり、高額になることがあります。開業前に試算しておくことが重要です。
2. すべて自己責任
休業補償・傷病手当・失業給付などのセーフティネットがなくなります。万が一の病気・ケガに備えた個人での保険加入が重要になります。
3. 確定申告の手間が増える
個人事業主になると毎年の確定申告が必須になります(以前は20万円超のみ義務)。帳簿の管理・書類の整備など、事務作業の負担が増えます。
4. 廃業手続きが必要
事業をやめる際には「廃業届」の提出が必要です。これ自体は手続きが簡単ですが、再開する場合は再び開業届が必要です。
開業届の提出手順
必要書類
- 個人事業の開業・廃業等届出書(税務署のウェブサイトからダウンロード可能)
- マイナンバーカードまたは個人番号確認書類
提出先と方法
| 提出方法 | 詳細 |
|---|---|
| 税務署の窓口 | 管轄の税務署に持参(本人確認書類が必要) |
| 郵送 | 管轄の税務署に郵送(本人確認書類のコピーを同封) |
| e-Tax(マイナポータル) | オンラインで完結。最も手間が少ない |
開業届の書き方ポイント
- 納税地:基本は住所地(事業所が別にある場合は選択可)
- 氏名・生年月日:正確に記入
- 屋号:任意。後から変更も可能
- 職業:「ハンドメイド作家」「雑貨製造販売業」など具体的に
- 事業の概要:「ハンドメイドアクセサリーの製造・インターネット販売」など
- 開業日:実際に販売を始めた日(過去日でも可)
同時に提出すべき書類
- 青色申告承認申請書:青色申告を利用したい場合、開業届と同時に提出が最も効率的
- 青色事業専従者給与に関する届出書:家族に給与を支払う場合
副業から専業への切り替えタイミング
ハンドメイドの副業が軌道に乗ってきたとき、専業に切り替えるかどうかの判断は慎重に行いましょう。一般的な目安は以下の通りです。
| 判断基準 | 目安 |
|---|---|
| 月間売上 | 本業の手取り月収と同程度かそれ以上 |
| 収入の安定性 | 3ヶ月以上継続して安定した売上がある |
| 運転資金 | 6ヶ月分以上の生活費が確保できている |
| 社会保険 | 切り替え後の保険料を試算し、生活できるか確認 |
まとめ
個人事業主としての開業は、ハンドメイド販売を本格事業として発展させるための重要なステップです。青色申告による節税・屋号の活用・補助金申請など多くのメリットがある一方、社会保険料の増加・セーフティネットの減少といったデメリットも存在します。開業前に収支のシミュレーションを行い、特に社会保険料の変化を確認した上で、計画的に開業することをおすすめします。